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イーハトーヴ山人の歌による交響曲 [音楽ネタ]

冨田勲のイーハトーヴ交響曲にはまっている。いや、はまっているどころじゃなく聴きながら何度も号泣した。震災以降東北をテーマにした音楽がいくつか出たけどその中ではイーハトーヴ交響曲が文句なしの最高傑作と言えるだろう。世間的には初音ミクとの共演が話題になっているようで、そういう観点から聴くのも(肯定的にも否定的にも)面白いのだが、そういう話しはよその誰かがなんぼでも論じているだろうから別の観点からこの作品について書いてみたい。「ミクを使わなくとも作品が成り立つのではないか?」という見方もあるようだが、作曲者の冨田勲はどうしてもミクのパートを人間の声にやらせたくなかったということらしい。ミクを夭折した宮沢賢治の妹トシに重ね、異界からの使者=トシとして登場させたという訳だ。それを色物と取るかどうかは個人の好みの問題である。

この作品には元曲がある。ヴァンサン・ダンディの代表作「フランス山人の歌による交響曲」である。おそらく宮沢賢治作曲の「種山ヶ原の夜より牧歌」と「フランス山人」第一楽章冒頭の旋律の親近性から着想を得て作品に引用したと推測される。ちなみに「フランス山人」の方の主要旋律はフランス南部の山岳地帯セヴェンヌ地方の民謡に基づいている。それが日本の旋律にもマッチするから面白い。冨田勲が引用した部分をちょっと書き出してみる。

イーハトーヴ交響曲:1.および7.岩手山の大鷲<種山ヶ原の牧歌>→「フランス山人」第一楽章冒頭
イーハトーヴ交響曲:2.剣舞/星めぐりの歌→「フランス山人」第三楽章の主要主題
イーハトーヴ交響曲:3.注文の多い料理店→「フランス山人」第二楽章の第二主題

細かく調べたらもっと出て来るかも。特に面白いのは「注文の多い料理店」のミクのソロパート。ここは「フランス山人」第二楽章の旋律を使っているのだが、途中で冨田勲のお遊びからかアラビア調に変化している。セヴェンヌ地方って地中海に近い場所にあるからもしかしてアラビアの影響も受けてるのかしら?原曲でもこの旋律だけ前後から浮いてる感じなんだよね。「岩手山の大鷲」「剣舞/星めぐりの歌」での引用および対比は見事としか言い様がない。ぶっちゃけ原曲より面白い曲になっちゃってる。「フランス山人」は立派な曲だと思うけど、せっかく登場させた主題をヘンテコに展開させたり余計なオカズを入れたりするせいでいささか散漫な印象にも感じられてしまう。せっかくの美しい旋律をもっと朗々と続けて欲しいのに中断しちゃうんだもん。旋律の聴き所や泣き所をはっきりさせたことでイーハトーヴが原曲を超えちゃったって言ったら怒られる?

実はダンディにはそれなりに思い入れがある。母校の吹奏楽部が昔コンクールの自由曲にダンディの交響詩「山の夏の日」取り上げたからだ。(私はその後の世代だが)全部で三つの楽章からなり、山の夜明けから日没までの情景が美しく描かれている。確かダンディって気難しい感じの人で、同じく自然の一日を描いたドビュッシーの「海」を聴いて「形式がない」とかケチをつけてたはず。スコラ・カントルムの厳格な校長先生も、生徒達に古楽の研究を推奨しつつ新しい音楽には嫉妬してたんだろうな。もしダンディが現代に生き返ってイーハトーヴを聴いたらどういう感想を持つんだろうね。

あたしはヴァンサンダンディ かりそめのボディ 妖しく聴こえるのは 私が書いたメロディ ・・・

イーハトーヴ交響曲は8月花巻で再演されるらしい。花巻だけとは言わず東北各地で演奏されて欲しい。






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南風のGIVE ME FIVE! [音楽ネタ]

去年の吹奏楽コンクール課題曲「南風のマーチ」とAKB48「GIVE ME FIVE!」のメロディが似ているとかでニコニコ動画やYoutubeで比較動画がいくつかうpされている模様。コメントを見ると案の定「パクリ許すまじ」的な論調が散見されている。聴いてみると、まあ確かに似てますなw 引用したのかも知れないし単なる偶然かも知れないし真相は私には分かりません。以前「岡本真夜の曲の盗作問題をめぐって」という記事を書いたことがあるけれど、私個人的には、引用とかパクリとかは結構楽しんで聴いちゃうタイプ。むしろリスナーの反応の背景にあるイデオロギッシュな部分に関心が行ってしまう方。前回は盗作問題にナショナリズムを引きずるのはつまんないよみたいなことを述べました。さて今回はどうだろう?取りあえず問題のブツを聴いてみましょうか?

AKB48「GIVE ME FIVE!」が「南風のマーチ」と似ている件.mp4



コメントを拝見しますとやはり怒ってる人が結構いますね。吹奏楽に真剣に取り組んでる若い人達にとっては自分たちの取り組みを冒涜しているように感じたんでしょうね。でもそれだけなのかな?コンクールの課題曲に対して、AKBという意表をついた所から接点があったんで思わず「面白い!」とも思ったんじゃないかな?私はそのクチです。そうじゃなかったらAKBであろうが課題曲であろうがリピート聴きして楽しみませんもん。

課題曲と言えばこんな思い出もあります。

1984年度課題曲(B) 吹奏楽のための土俗的舞曲(和田薫)



これ高校時代に練習してた曲なんですけど、私はこんなこと考えてました。
「これフットルースのテーマっぽくねw」



もちろんこれがフットルースのパクリである訳はありません。伊福部昭の交響譚詩冒頭を引用したのでは?という指摘は当時からあって、事実そうなんでしょう。和田薫氏はまずは師匠の意匠(ウマーw)を積極的に自作に取り入れ、その上で自分の道を拓こうとしたんでしょうね。これは責められるものではないと個人的には思います。交響譚詩もついでに聴いてみましょう。



さて、南風のマーチの話しに戻ります。私初めてこの曲聴いた時「どっかで聴いたことあるぞ?」と思いました。「まだ毛もはえそろわない厨房のころに練習したよーな気が。。。あ!あれだ!」

これです。1981年度課題曲(D) 行進曲「青空の下で」



一方、2011年度【吹奏楽】南風のマーチ【課題曲】IV



冒頭のファンファーレ、なんか似てません?これは偶然の一致なのでしょうか?それとも?
南風のマーチを愛する諸氏に対して水をぶっかける意図はこれっぽっちもありません。しかし、AKBと南風をつい比べてしまうように、南風と青空をじっくり聴き比べてしまう自分がいたりします。でも冒涜だとかは思いません。怒りの感情より、まず「面白い!」というのが先に来ます。

さて、「リスナーの反応の背景にあるイデオロギッシュな部分に関心がある」と先に言いましたが、今回の場合どうなんでしょうね?うまく言い当てることは出来ないけど「メジャーとマイナーが交差した時に生じるアンビバレントな感情」、とでも言えばいいのかな?本気で怒ってる人は少数だと思うんですよ。むしろ「てめーふざけんな!(ニヤリw)」という感じじゃないかな?深層心理のどこかに「パクられたことで俺等が頑張って練習した曲が一般に少し知られるようになったら萌え」というツンデレ感情もあるのではなかろうかと。感じ方は人それぞれでしょうけれどもね。

最後にオマケ。本年度吹奏楽コンクール課題曲より、
 吹奏楽のための綺想曲「じゅげむ」



天国の伊福部先生、「儂の曲に孫が出来たわい」とか思ってたり。。。


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アタマがキンキンかき氷5杯! [音楽ネタ]

女子大生シンガーソングライターのmiwaにはまってる。ちっちゃくてケロケロしてて可愛い。昔の職場で妹分みたいに可愛がってたコーハイの女の子に良く似てて思わず感情移入してしまう。miwaを知ったきっかけは今年2月にゲストで出演した火曜ジャンク爆笑問題カーボーイ。ウワハハハァという独特の笑い声に惹かれちゃった。

4月からは裏番組のオールナイトニッポンのパーソナリティをやってる。同じ時間帯に放送されてるラジオを同時に聴き分けるような聖徳太子的福耳は持ち合わせていないので、Macを二台立ち上げてそれぞれにラジオをつなげて録音している。

miwaナイトをコーナー目的で聴くのは正直しんどい。彼女は慶大に通うほどの才女だが、基本天然キャラなので、ハガキ職人のネタのレベルが高くても、本人がその意図を読めず外してしまうことも多い。また、アニメなどの特定番組以外テレビをあまり観ないらしく、芸能人ネタの投稿にはよく意味が分からないで読んでいたりもしている。でもつまらないわけじゃない。上手く言えないけどmiwaのラジオには訳の分からない中毒性がある。

特にここ何週間かでツボなのが、「アタマがキンキンかき氷5杯!」


「何コレ?突然やぶからボーに、んなこと叫ばれてもどう反応したら良いのだ?」と最初は困惑していたが、毎週聴いているうちにだんだん気持ちよくなってきて、これを聴かないと一週間調子が出ないほどになっちゃった。

しかもこれ曲扱いなのよね。たったの4秒曲。Napalm DeathのYou sufferの1.316秒には負けるが、可愛さといい曲の完成度といいmiwaの方が上やね。(いつもながら勝手な基準w)




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あいさつの魔法の譜面 [音楽ネタ]

例のACのポポポポ〜ンが随分叩かれているようだが、私のこのCMへの興味は「この曲って何拍子?どういう譜面になってるんだろ?」ということだけだった。一聴すると一つ一つのフレーズが微妙に間延びしていて(特にどうぶつの登場部分)変拍子や連譜が駆使されてるように感じられた。「ひさびさに耳コピで採譜でもしてみよかな?」と思ったが、すでに正確な音取りをしていた方がいてyoutubeに譜面をあげていた。見てみると意外と単純な作りだと分かった。なるほど三拍子の中に歯抜けの三連入れて拍節感がつかみづらいトリッキーなリズムにしてるわけね。世間でどういわれようと個人的には良く書かれてある曲だな〜っと感心している。


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坂本冬美〜Love songs [音楽ネタ]

私はほとんど演歌には興味の無い人間なのだが、坂本冬美だけは時々聴くようにしている。きっかけはNHKの『昼どき日本列島』のテーマ曲だった「日々是好日」。鼓膜をこちょこちょとくすぐられるような艶やかな歌声に一発でやられた。曲も他の演歌と違いノリがポップだ。(例に寄って興味のある方はこちらをドゾ→「日々是好日」

最近運転中リピートしてるのは先月発売されたJPOPSカバーアルバム『Love Songs II ~ずっとあなたが好きでした~』である。おととし発売された『Love Song~また君に恋してる~』の続編で「冬に聴きたいラブソング」がコンセプト。今回の収録曲はこんな感じ。

1. 安奈 (甲斐バンド)
2. 哀愁のカサブランカ (郷ひろみ)
3. ずっとあなたが好きでした (坂本冬美)
4. 白い冬 (ふきのとう)
5. さらばシベリア鉄道 (太田裕美)
6. オリビアを聴きながら (杏里)
7. ひとり上手 (中島みゆき)
8. 想い出まくら(小坂恭子)
9. 神田川 (かぐや姫)
10. ワインレッドの心 (安全地帯)
11. さよなら (オフコース)
12. クリスマス・イブ (山下達郎)

前作に続いてまたオフコースの曲が収録されている。私は中学生のときオフコースが大嫌いだったのだが、この坂本冬美カバーだとすんなり受け入れられた。理由はうまく言えないけど「可愛い彼女がいるリア充野郎視点」の歌い方ではなく「酸いも甘いも噛み分けた大人の女性視点」の歌い方だからだと思う。なんのこっちゃ。

それにしてもいつ聴いても「さらばシベリア鉄道」は名曲ですな。冬美姐さんには太田裕美楽曲を全部カバーして欲しいな。「木綿のハンカチーフ」を少女視点じゃなく熟女視点で是非...
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「schola 坂本龍一 音楽の学校」を観る [音楽ネタ]

昨年NHK教育で放送されていた「schola 坂本龍一 音楽の学校」が1月3日一挙再放送された。私が正月に観たテレビ番組はこれだけ。22時から3時50分までのオンエアの間ずっと2chの実況板に参加し音楽談義でけんけんがくがく。翌日は寝不足でヘロヘロだったが、ひさびさに面白い番組に出会えて嬉しかった。あーあリアルタイムで観ときゃ良かった。

第一部バッハ
第二部ジャズ
第三部Drums & Bass

ゲスト講師との鼎談の他、小中学生高校生とのワークショップ、そしてゲストミュージシャンとのセッションという構成。内容が濃い。YMOメンバーでの久々の「千のナイフ」、および高橋幸宏の歌う「Hello GoodBye」カバーではイキましたわ。しかし一番面白かったのは番組のジングルに使われていた坂本作曲のピアノ曲である。これは一度譜面をじっくり見てみたいな。

「音楽史を俯瞰するのに3部構成じゃ物足りない。古典や近現代も欲しい。」とも思ったが、よく調べてみると実はあったのですね。ネット上での講義が。こりゃ全部聴くの大変だわ。取りあえずYoutubeにあがっていた分については早速視聴。坂本教授によるドビュッシーラヴェルについての講義が聴けるとはマジ感動。

昔CXで「音楽の正体」という番組があったが、それと同様、いやそれ以上に資料的価値の高い番組だと思う。出来たらネットだけじゃなくNHK教育でも毎年続編をやって欲しい。それにしてもワークショップに参加してた小中高生さん、感性がみずみずしくて良いですね。オレなんかもう、すれちゃって。。。

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絵のない絵本 [音楽ネタ]

近年人気の吹奏楽作曲家樽屋雅徳氏の作品をまとめて聴く機会を得た。私は最近の吹奏楽事情には全く疎く、樽屋氏を知ったのもつい最近である。曲のタイトルだけは数曲おぼろげに記憶していた。ずいぶんと大仰なものばかりだったからである。しかしどの曲も命名のセンスが同じなので途中で覚えるのを辞めた。いや始めから覚える気がなかったのかも知れない。私は今までネット上で交わされていたこの作曲家にまつわる議論について全く知らず、例の「絵のない絵本」盗作疑惑の件を知ったのは樽屋作品をまとめて聴いたのと同時期だった。「実にオモロイ話でんなぁ〜。オレが吹奏楽に興味持たなくなってる間にこんな面白議論があっただなんて!もう少しマジに吹奏楽界を見とけばよかったわ。」というのが私の率直な感想である。今更と思われるかも知れないが、現在私のiPodにはティモシー・マーの「エンデュランス」と樽屋氏の「絵のない絵本」の両方を入れてあり、いつでも比較できる状態にしている。ニヤニヤ笑ったりちょっとムッとしたり中々楽しい聴き比べである。個人的にはパクリと言われている部分よりも、強奏部においてゴテゴテとサウンドがニゴり美しく響かない点が気になった。これは他の樽屋作品にも言える事で、演奏レヴェルの問題ではない。

樽屋氏の音楽は分かりやすい。全ての作品に具体的な情景を暗示させる表題があり、親しみやすいメロディを持ち、何よりドラマティックに音楽が進行する。しかし専門に音楽を学んだ人から見ればどうしても彼の作曲技法は稚拙に感じられて仕方ないようだ。樽屋氏は武蔵野音大の作曲科卒ではあるが、専門家に言わせると彼の作曲法は音楽の基本すら理解していない素人同然ということらしい。私のような素人でもそのような指摘にはうなずける部分がある。せっかく美しいのに展開も再現もせず使い捨てられる主題。和音進行と楽器法のまずさから来るサウンドの濁り。ほとんど用いられない対位法的手法。表層的効果のみ狙いしかも多くの場合効果があがっていないオーケストレーション。情景の切り貼りのみで作品を成立させることによる音楽的構成美の不在。大仰なタイトルとは全く無関係であるケルティックモチーフの常用。そして元ネタの存在(笑)。まともな教育を受け今も真面目に研鑽を重ねている作曲家からすれば、このような音楽が流行する風潮には我慢ならないのだろう。(その他、曲のタイトルを文学作品から引いている場合、その作品への共感と作品に見合うだけの音楽的水準が欲しいという観点から批判したブログもある。左記ブログは主にサン=テグジュペリ「星の王子様」と同名の樽屋作品についての考察だが、中々興味深くそして厳しい。)

しかし実際には樽屋氏の音楽を愛好する若者は多い。ほとんどの作品が全国の吹奏楽団によって毎年繰り返し演奏されている。樽屋氏の音楽に触れると感動するという声は決して少なくない。いくら同業者が恨み節を重ねても「数多く演奏され作品が多くの人々に愛されている以上、他にいったい何を作曲家に望むというのだ?」といった問いには答えに窮するのでないか?樽屋氏の音楽に対し全面的に「否」と唱えるのはなかなか難しい。善かれ悪しかれそこに「ニーズ」があるのだから。とは言え樽屋作品にはプロの作曲家としての「技術」が欠如しているのもまた明らかである。その点に関してだけは売れる売れないのレヴェルで卑屈になるべきではない。誰かがオーダーすれば良いのだ。「フーガを書いてください。」「交響曲を書いてください。」と。「私は今発表し続けているような吹奏楽作品で一生やっていくつもりです。それが私の芸風ですから。。。」と言って樽屋氏は断るだろうか?樽屋氏はメロディメーカーとしての才能はあると思う。なんだかんだ言って彼の書くメロディは美しい。意外と忘れられがちだがメロディを書く能力は作曲家に必要な大きな要素である。その魅力的なメロディを別のメロディと絡めたり、変化させたり、回帰させたり、そういった一切合切の技術を再度誰かに学ぶことが出来たら?もしかしたら樽屋氏は独自の個性を持ちかつより多様なニーズにも応えうる本当の意味での作曲家になれるかも?。。。いや、そんなことは誰にも分からないか。


最後にアンデルセンの「絵のない絵本」についての悪ふざけを。

作曲家であり軽度のうつ病で悩んでいるの私の部屋の窓辺から月が現れる。『私が世界中で見てきたものをそのまま描きなさい。きっと素敵な音楽になるでしょう』と月は私に語りかける。私は思わずムッとして月に向かってこうやり返す。

「大きなお世話です。そんなの私の創作とは言えないじゃないですか?私が孤独にしている様子を見て憐愍の情でも垂れようとでもしてるんですか?ばかにしないで下さい。こう見えても私はプロなんです。あなたは私の唯一の理解者のような顔をしていますが知ってますよ。他の誰かにも同じように面白おかしく語りかけてるんでしょ?人の秘密なんて考えたこともなく。世界中のみんながあなたのことを知っています。みんなの人気者ですよ。そんなあなたに人の孤独なんて分かるはずはないでしょう?一人で地球を回ってるだけだから私も独りぼっちですって?それはそうでしょうが、あなたと違って私には私だけを見てくれる人なんていませんよ。地球上の全ての人々のうち、あなたのことを知らない人なんて誰もいないんですから。私は私の力で作品を生みますからどうぞお引き取り願います。あ、もう行っちゃったか。やっぱり俺はみんなの人気者とは友情は持てないんだな。」


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医学的に難しい曲 [音楽ネタ]

所さんの笑ってコラエテ「吹奏楽の旅2010完結編」をつい先ほど見終えたところ。私はもはや吹奏楽にはなんらコミットする者ではないし、番組についてもロクな感想を言いやしないだろうから、差し支えない範囲で吹奏楽にまつわる思い出でも語ろうかと思う。どうしても吹奏楽を扱った番組には「思い入れ補正」というのがかかってしまい冷静に観れない。なるべくいやらしい悪党の大人として観ようと決意し、心の中でヤジを飛ばしながら番組を鑑賞していたのだが、ちょっとした油断で涙が出、いや、そんなことは絶対ありえないのだが、なんというか、その、ツンデレ?。。。そう、つまり、私にとって吹奏楽はまだキレイな思い出として対象化されておらず、アンビバレントな感情を持ってしまっている。なのでやっぱり番組そのものの感想は書かず、番組の中で登場していたC.スミスの「華麗なる舞曲」の思い出だけ語ることとしよう。といっても実は私は「華麗なる舞曲」を演奏したことはないのだが。

大学4年ぐらいのころだったかな?福岡出身のパーカスの後輩が帰省中にコンクール県大会のテープを入手し、興奮して戻って来た。「聴いて下さいよ、これ、とにかく凄いんですから!」「何じゃこれ、キザミ音ずれてんじゃないの?」「ちげえよそうゆう曲なんだろうよ。」「はえー!タンギング切れないって。」「指もまわんねえだろ。」「テープデッキいかれて早送りになってるんじゃね?」などと一同みんな、けんけんがくがく。演奏は福岡工業大学付属高校。曲目は「華麗なる舞曲」である。今でこそ演奏頻度の高い曲だが、その当時はまだほとんど取り上げられていなかった。

私の所属していたバンドは中のやや下ぐらいのレヴェルで決して上手い方ではなかったが、それでも向上心のある仲間が多く、この曲の譜面をいつの間にやら誰かが民音から借りて来て、勝手に練習し始めた。私は学生指揮者だったので自分のレパートリーの勉強で精一杯。このお試し練習には演奏者としても指揮者としても参加しなかった。でもちょっと気になって「どうよ?」とボントロの同輩に声をかけると、「吹けにゃぁーい!」とベロを出し降参した様子。一応スミスの曲を何曲かやったことのある私は「なんだそんなに難しいのか。」と聞いてみる。「これは音楽的に難しい曲じゃないんだよ。」「じゃー何なのよ?」「医学的に難しい曲なんだ。」「??」

ようするに生身の人間が演奏するのは困難だということを彼は言いたかったらしいが、「じゃあ何か?あの高校生達は人間じゃないのか?」と反論したかった。それでも私はみんなのチャレンジ精神を心強く思い、この曲を合奏にあげないことを心の中で申し訳なく思った。その内みんないったんは「華麗なる舞曲」のことを忘れた。秋の定期演奏会が終わるまでは。定期演奏会の練習はなかなか進まなかった。理由の一つはドラムメジャーくんがマーチングのコンテ(演奏者の動きが書かれた図)をなかなか発表してくれないことにあった。煮詰まってたのである。その内本番直前の強化合宿に突入。私はマーチングがへたくそということもあり、メジャーには良く思われていなかったのだが、それでも演奏会が失敗したらシャレにならんと思い、自分に出来ること、例えば曲のアレンジなどを手伝った。楽譜を仕上げて彼に渡してもコンテ作りは進まない。仕方ないので他のみんなはメジャーの聖域にまで手を出した。そう、彼に黙って一曲コンテを書いたのである。そんな感じで最後の最後までギリギリのところでなんとか演奏会に間に合わせた。

私の演奏活動は事実上そこで終わった。散々だったけど力は出し切った。ところがまだ活動を終えていない男が一匹いた。例のメジャーくんである。彼は自校のコンテの他に合同演奏会のコンテも抱えていたのである。彼が選んでいた曲は、な、なんと「医学的に難しい曲」=「華麗なる舞曲」だった!「座奏でも難しい曲なのにマーチングでやるって?間に合うのかよ。」遅筆の彼が本番に間に合わせることが出来るか、部員一同疑問視して首を傾げていた。4年のみんなは卒業試験を控えておりそのまま彼を放置しておいたが、本番だけは観に行く事にした。期待半分ヤジ馬根性半分で。いや、お世辞抜きで素晴らしいステージだった。そしてメジャーくんを見直した。「慎重に物事を進めるのも大事だけどチェレンジ精神も大事だよなぁ。華麗なる舞曲を遊びでも合奏練習でやらなかったのは申し訳ないことをしたなぁ。」と少し罪悪感も感じた。でも普段はクチの悪い我々である。ある同輩は思わずこう言った。「これ絶対ゴーストライターの仕事だよ。」

今じゃ「華麗なる舞曲」は実力あるバンドがじゃんじゃんやる曲だ。決して「医学的に難しい曲」ではない。でもこの曲を聴くとどうしても、当時の音楽室での玉砕シーンが思い出されるのである。そしてメジャーくんがその後留年したことも。





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映画「オーケストラ!」ようやく青森上陸 [音楽ネタ]

フランス映画「オーケストラ!」(原題:Le Concert)をシネマディクトで観た。私は洋画はほとんど興味がないのだが、この作品だけは例外的に楽しみにしていた。落ちぶれたオケの再起というテーマがどこか「のだめ」とかぶるし、予告でのチャイコンの演奏が素晴らしかったからである。いんやぁ、面白かった。メラニー・ロランって凄く美しい女優だね。ロシア人をあそこまで戯画化してもいいのか?とか、リハを全くやっていのにあそこまで演奏が持ち直すのはいくらなんでも出来過ぎだろ!などのつっこみどころは多々あったが、やっぱり最後のコンサートシーンにはしびれましたわ。ソ連崩壊後のロシアの社会情勢やユダヤ人問題など色々考えさせてくれるテーマも盛り込まれている。個人的に「夢よもう一度」というテーマは嫌いじゃない。自分自身が落ちぶれて自信がなくなっているから。俺ももう一度色んなことにチャレンジしないとだよなぁ。

メラニー・ロランの超美しい演奏シーンはようつべにとっくの昔にあがっとりますので是非ご堪能下され。
オレ異人さんに萌えたのヒサビサだわ。


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尾上ぐらしのアリエッティ [音楽ネタ]

私は偏屈男なのでジブリ作品をあまり好んでおらず、以前「アニメ版ナウシカは原作ラストでリメイクせよ」の巻においてこのような意見を述べていた。

正直私はジブリ作品が苦手だ。どんなにリアルに自然や人々の生活を描こうが何故か心には響いてこない。全くよその世界に思えて仕方なく感じる。どんなにトンデモ設定な作品でも自分の生き方と照らしあわせて共感が持てる部分がある作品は良作だと思う。これがジブリ作品の場合だと何故か「ぜ、ぜったい影響なんかされないんだからね!」と身構えてしまう。この感情がどこから来るのか分からなかったが、要はジブリ作品から鼻持ちならぬ優等生的なもの、あるいは不自然な純粋さといったものを感じてしまい、素直に受け入れられなかったのだと思う。私は多分人気者のクラスメートというタイプが苦手なのだと思う。皆が認めるものは時に人を傷つける。

今もこのような意見を持っているのか?と問われると困ってしまう。「ゲド戦記」、「崖の上のポニョ」などの近作を未だ鑑賞しておらず、論評する資格がないからである。要するに最近の作品に関して言えば、単に喰わず嫌いなだけであり、もしかしたら前言を撤回する可能性だってある。今公開されている「借りぐらしのアリエッティ」も観ていない。ネットでの評判を観ると「人間に見られてはいけない」のコピーをもじって「人間に見られてはいけないのはこの映画」という酷いレビューもあって、どうも劇場に足を運ぶ気にはなれないでいる。(仮面ライダーWの劇場版は喜んで観に行ったくせに)映画にはあまり関心が湧かないが、セシル・コルベルの歌う主題曲「Arrietty's Song」だけはどうも気になっていた。私は上野洋子ファンである関係でケルト音楽に関心があるからである。セシル・コルベルの歌う日本語の歌詞は滑舌が悪い。歌詞カードを見なければ良く聴き取れない。「いっそ英語で歌えばいいのに」とさえ思ってしまう。ジブリへの反骨もあってしばらくこの歌のことは忘れていた。ある人物のカバー版を聴くまでは!

先日たまたまYOUTUBEで見つけたカバーがこれ。上手い!!

はっきり言って原曲よりこっちの方がずっと好きだ!しかも歌っている人(謎の人物K女史)は物語に登場する建物のモデルである盛美園の近くに住んでいたという。ニコニコ動画では結構知られている歌手みたいだけど、そっかー、尾上の人なのかぁー。応援シマス。

追記:

セシル・コルベルの「Kari-gurashi~借りぐらし~」というイメージ歌集アルバムの中に「Arrietty's Song」の英語バージョンが収録されていることを知った。ちょっと気になったので劇場版OSTとこのイメージアルバムを試聴してみたが、両者ともかなりクォリティが高いようである。明日ツタヤで借りてこようかな。。。映画も観に行けって?べ、別にツタヤでもいいんだからね!




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